2013年5月27日月曜日

想定外

 東日本大震災の原発事故の対応で流行語のようにもなった『想定外』という言葉。予想をしていなかったことが起こると、私たちはパニックに陥ったりします。

 では、『想定内』と『想定外』では何が違うのでしょうか。
 私たちは想定内のことに対して、その対応方法を準備します。そして準備ができていると安心できます。〝これしかない〟という状況に対しては1つの対応策。そうでなくてもたいていの状況に対して経験などから3つ4つの対応策を準備しています。それで安心できるわけです。

 一方、想定外のことに対しては想定できていないわけですから、当然準備もできていません。準備ができていないことが起こると、
 「どうすればいいんだろう」という焦り、
 「どうなっちゃうんだろう」という不安、
 「何かがおびやかされるのでは」という恐れ
などにかられます。

 そしてそのときの行動は、『自分を守る』という方向に進みます。

 実は、私たちはよくこのような対応をしています。次のようなことはないでしょうか。
 子どもが思いもよらぬ質問をしてきたとき、
 「今、忙しいからあとにして」
 「そんなのも分からないの?常識でしょ!」
 「また、屁理屈みたいなこと言って…」
 「そんな細かいことは気にしないの!」
その心のうちは、
 『急に言われたって困るわよ』
 『いい加減なことを言って間違ってたらやだな』
 『知らない、分からないとは言いたくない』
 『親(大人)の威厳が…』
こんな感じでしょうか。


 先日の学校参観日のこと、低学年のクラスで先生の質問に対して子どもからおそらく全く想定外の答えが返ってきました。そのとき、先生は一瞬戸惑った表情をしながらも
 「○○さん、すごいね。先生も思いつかなかったよ
と言い、先生が求めていた答えではなかったのですが、その言葉でその子はとてもうれしそうでした。

 先生も、参観日の授業はふだんの授業以上に自分の予定通りに進めていきたいものだと思います。想定外の答えはさっと流してしまいたいところではないでしょうか。でも子どもは〝すごい〟とほめられ、〝先生が思いつかなかったことを自分は思いついた〟と承認されたことで笑顔になったのです。
 想定外のことが起こると自分に意識が行って、ごまかす言い訳するお茶を濁す無視するなどの行動をしてしまいがちですが、そういうときこそ子どもを見て承認できるといいですよね。
 〝すごいね〟
 〝やるなー〟
 〝知らなかったよ〟
 〝勉強になったな〟
 〝いっしょに調べようか〟
こんな承認の言葉で子どもの自信とやる気が芽生えてくることでしょう。

 『人はそれぞれ』 何が出てくるかわかりません。

 想定外のときの対応こそ、その人の真価が問われるなと、あらためて気づかされました。

2013年5月8日水曜日

なかなか・・・

コーチングセッションをしていると、その人から口癖のように出てくる言葉が気になります。

口癖のように出てくる言葉は無意識に使っています。

しかし、その言葉には大きな意味があることが少なくありません。

以前に、セッションをした人に本当に特徴的な人がいました。

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「なかなかうまくいかないんです。」

「なかなか時間がなくて…」

「なかなかできませんね。」

5分くらいの話の中で、「なかなか・・・」が4回出てきました。

2回目の時に、ビビッと何か感じたので、「なかなか」が出てくるたびに
私のほうからも「なかなか・・・」とオウム返しをしていました。
2回目、3回目は「そうなんですよ」という言葉が返ってきただけだったのですが、
4回目の時に、
「あれ?また、”なかなか”って言いましたね。」
と本人が言われました。

そこで
「”なかなか”ってどんな時に出てきますか?」

「イライラしているとき・・・・・」

「イライラしてるとき・・・?」

「いや、違いますね。何か言い逃れしようとしているときですね。うまくいかないことの言い訳をしようとしているのかもしれません。・・・
あぁ、そうです!それで”なかなか”って、何回言ってました?」

「4回です。」

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この方は、「なかなか」という言葉を使って、「できない理由」==>「やらない理由」を自分の中で正当化していたようです。『だから、しかたない』ということです。

このあと、「なかなか」を掘り下げて、その方の無意識の背景を具体化していきました。



自分では気づいていない口癖。

それは、無意識に自分を正当化し防衛しようとしている言葉かもしれません。

防衛するために一生懸命力を使っていると(無意識に)、前に進もうとする力までもそがれて行動できないのです。


身近な人に、どんな言葉を良く口にするか聞いてみてはいかがでしょう?

意外なものが見えてくるかもしれません。